モデルルーム Model room
大橋鉄郎は、今日の私たちの表層的な情報の摂取に対する批評的な視点から、平面、立体、映像など多様な手法で作品を制作してきました。近年は、「3Dモデル」シリーズにおいて、写真に写った実在する物体を紙を使って立体化しています。表面のテクスチャーのリアリティを追求しつつも内部が空洞の立体は、物事の表層だけを受け取り、その先に思考が及ばない状態を表しているとも言えます。
本作では、インターネット上にある家具量販店の商品写真が実寸大の紙製の立体として再現されています。今、私たちの趣味嗜好は商品購入履歴やウェブページの訪問履歴によって企業に掌握され、「あなたが欲しいはずのもの」が広告として日々端末に表示されます。
この紙製のモデルルームは、インターネットが与えてくれる「よりよい生活」のイメージを物体化したものです。合板の家具が無垢材の高級家具の表面をなぞるように、空洞の家具からなるモデルルームは、植えつけられた「よりよい生活」のイメージの表層を丹念に表現することで、かえってその実態への「届かなさ」を意識させます。
(展覧会キャプションより)


撮影:リョウイチ・カワジリ
写真提供:札幌文化芸術交流センター SCARTS
Photo: RYOICHI KAWAJIRI
Photo courtesy: Sapporo Cultural Arts Community Center SCARTS
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